今回は、妊活を始める際に、まず知っておいていただきたい事をまとめたいと思いますが、その前に、もう一度、妊活という言葉の定義について、考えていきたいと思っています。
『妊活バイブル』の共著者、白河 桃子さんは、妊活とは、『意志をもって授かること』と書かれています。私は、妊活という言葉を、妊娠、出産など生殖に関わる事柄について、積極的に学び、考え、計画し、実行していく事を総合的に表す言葉として、使っていきたいと思います。一般的に妊活=不妊治療、と考えられる傾向があるように思われますが、不妊治療は、妊活中に行われる事のある行動の一つ、であって、全てでないと考えております。
さて、前置きはこのくらいにして、本題に入りたいと思います。
今回は、妊娠を始める前に知っておきたい事をまとめて書きたいと思います。
妊活には、二つのゴールがあると考えています。第一のゴールは、妊娠を希望する人が、妊娠、出産に至る事ですが、もう一つは、妊娠に至る事ができなくても、心身の健康を手にすることではないでしょうか。これらのゴールを手に入れるために、ご自身で出来る事を一つ一つ説明していきます。
タバコ
タバコによる健康への害はすでによく知られている思います。タバコは、心疾患や、癌、慢性的な肺疾患などを引き起こします。喫煙は、生殖機能(リプロダクティブヘルス)にも、悪影響を及ぼします。例えば、妊娠中の喫煙は、早産のリスクを上昇させ、胎児の発育を妨げ、その他の合併症を引き起こします。さらに、 自然妊娠と体外受精などの治療のどちらに置いても、喫煙者は、男性、女性共に妊娠率が低下している事が知られています。
もし、今あなたがタバコを吸っていられるのであれば、禁煙する事を強くお勧めします。もし、禁煙するのが難しいようでしたら、禁煙プログラムを提供してくれる医師にご相談される事をお勧めします。
アルコール
妊娠中は、アルコールは一切控えて下さい。妊娠中のアルコールの摂取は、胎児性アルコール症候群といった、先天異常の発症率を上げる事が知られているからです。さらにアルコールは、妊娠率を下げ、流産率を上げる事も知られています。それゆえ、妊娠を希望する女性は、 完全にアルコールをやめるか、もしくはアルコールは月経周期の最初の1週間のみにする事が、勧められます。男性においては、少量および中等量のアルコールは、妊孕力には関係しないと言われております。
カフェイン
コーヒーやお茶、ソフトドリンクやチョコレートなどに含まれていますが、女性がカフェインを摂取すると、妊娠率が下がり、流産のリスクを上げる、という研究がいくつかのグループに寄ってなされています。カフェインの摂取は、完全に控えるか、少なくともカフェインの入っている飲み物は一日に一杯のみに制限した方が良いでしょう。カフェインの摂取は、男性の妊孕力には影響を及ぼさない事が知られています。
処方薬
生殖補助医療に関係ない処方薬に関しては、必ず産婦人科医、不妊専門医にご相談下さい。医師に薬を処方してもらう際には、必ず妊娠を希望している事を伝えて下さい。アスピリン(アセチルサリチル酸、商品名、バファリンなど)は、排卵を妨げる作用がある事が知られていますので、排卵期での摂取は控えて下さい。漢方薬に関しても、必ず婦人科医、不妊専門医にご相談下さい。
ビタミンサプリメント
妊娠前、及び妊娠初期に葉酸を摂取すると、二分脊椎症(背骨の形成異常)の発症率を50%〜70%下げることが知られています。妊娠を希望する女性は、妊娠前から葉酸を少なくとも一日400
mg摂取することが推奨されています。葉酸は、処方してもらう事もできますし、一般薬局のサプリメントコーナーでも販売されています。
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また、マルチビタミンには、脂溶性ビタミンであるビタミンAが2500〜5000単位ほど含まれている事が多いですが、ビタミンAの過量摂取は、先天異常の発症を増加させるというデータがありますので、一日に10,000単位以下にとどめて下さい。
食事
普段、何を食べているか、どれだけ運動しているかは、当たり前ですが、私たちの健康に大きな影響を及ぼしますし、妊孕力にも影響を及ぼします。一般的なアドバイスとしては、女性は、野菜、フルーツ、炭水化物、タンパク質、乳製品などを、バランスよく摂取し、高脂肪のもの、油は、控えめにする事が、勧められます。
2 件のコメント:
情報の整理、参考になります。
一点「アルコール」の個所で、
「さらにアルコールは、妊娠率を下げ、流産率を下げる事も知られています。」とありますが、ここは「流産率を上げる事も」ではないでしょうか。
著者です。ご指摘ありがとうございました。アルコールと流産率は、流産率が上がるというのが事実で、当方が書き間違えました。早速訂正させていただきました。今後とも、よろしくお願い致します。
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