2015年10月23日金曜日

National Food Dayに、親子で新しい味を楽しむ!

 昨日10月22日(木)、子供達の通うアメリカ、ボストンの現地校でFood Day Festivalが午後5時〜6時半に開催されました。毎年、National Food Day (詳しくは、去年の記事をどうぞ http://ninkatsutecho.blogspot.com/2014_10_01_archive.html )の前後に開催されるイベントには、地域のレストランやファームなども参加し、親子でFoodについて、学び、考え、そして食べて楽しむイベントです。

 今年も、新しいレストランや食料品店からの出品、保護者作成の食品の数々、食べ物に関するトリビアコーナーなどなど、今年も親子で色々な食べ物を味わいながら、楽しむことができました。

私の今年のお気に入りは、キノアと七面鳥のリゾット。新しくできたレストランからの出品でした。レシピを知りたい!と聞いたところ、お店に来て、シェフに聞いてね!と言われました。これは、お店に食べに行くしかないですね。

毎年恒例、生徒による野菜のレシピコンテストは今年も開催。
娘も、今年も!と張り切ってRoasted Edamame(枝豆のオーブン焼き)作って持って行きました。結果は、3位! 商品として、World Hunger, 10 Myths (世界の飢饉、10の俗説)という本を貰ってきました。
11歳の娘にはちょっと早いかも? でも、飢えを経験したことのない子供に、今改めて考えてもらうのには良いのかもしれませんね。



2015年10月19日月曜日

日本でも、経済格差による保健格差が明らかに。「コウノドリ」第一話 未受診妊婦をみて

 ついに始まった、綾野剛さん主演の、TBSのドラマ「コウノドリ」第一話。日本のお産の現場が丁寧に、産婦人科医の私と、小児科の夫で、食い入るように見てしました。

Save The Childrenがまとめたデータによると、2015年、日本はお母さんに優しい国ランキングで172カ国中32位でした。また、先進国のお母さんの中で死亡する確率が最も高いのはアメリカのお母さん(妊産婦死亡の生涯リスクは1,800人に1人)でした。
 また、注目のデータは、日本では職業による保健格差が明らかになったこと。例えば、無収入世帯は、高所得世帯より、子どもが1歳未満で亡くなる可能性が7.5倍でした。(1,000人当たり10.5人対1.4人)
 TBSのドラマ「コウノドリ」第一話では、未受診妊婦がテーマでしたが、お金がなくて、頼る人がなくて、妊婦検診を受けないで過ごすことも、決して稀な出来事ではなくなっていること、そしてそれは母子の健康を脅かしていることがはっきり示されました。
 母子手帳をもらうと無料の受診券がついていることや、出産に対して出産一時金の支給があることや、出産費用を軽減してもらえる助産制度があります。ですが、このような制度の情報が、必要な人にきちんと届いていないのです。
 ネット全盛の情報社会では、玉石混淆の情報の海の中に、大切な必要な情報が埋もれてしまいますね。 
 私も、妊活、妊娠、出産に関する必要な情報が、必要な人のところに届かない現状を、少しでも変えていきたいと思っています。

2015年10月9日金曜日

そのポスト、本当にシェアしてもいいの?もう一度、冷静に考えてみて欲しい、癌関連のポストについて

 川島なお美さんご逝去、そして北斗晶さんの乳がんの手術などで、世間では癌治療について、いろんなポストが出回っていますね。
 そんな中、今ネット上では、癌の治療について、一見正しいことを主張して見えるような、ポストがあふれ、拡散しています。 

 そこで、あなたに質問です。

 あなたは、長年医学を専門として勉強してきている医師の言葉と、そのブログの内容どちらを信じますか?

 あなたが、そのブログを、いいね!したり、シェアしたりすることは、本当に他の人のためになることなのでしょうか?

 簡単に情報をシェアできる今、もう一度シェアをする前に、考えていただきたいと思います。

よく拡散している医療関係のポストは、いくつかのカテゴリーに分けられます。

第一に、完全否定の言い切り型ポスト
例えば、「病院が癌を作る!」とか、「癌検診は受けてはダメ」「ワクチンは百害あって一利なし』といった現代医療、病院、製薬会社、そして医者を完全否定する型のものです。

第二に、「これが100%絶対によい!」など、絶対効く型のポスト。『**で、全ての病気が治る!」といったもの。

第三に、『自然が一番」などの、自然派型ポスト
昔はそんなことはなかった。病気は、現代の生活、食べ物、技術、医療などが生み出したもの。だから自然が一番です。といった形のもの。

そして、これら3つが組み合わさったものが沢山あります。

著名人のブログの方だからといって、頭から信じてしまわないでください。きちんと、専門の医師の意見を聞いてください。

 通常医者は、医学部で6年間、しっかりと専門医学教育を受け、医師国家試験を受験、合格し、そして卒後の臨床研修、そして臨床の現場で、常に、医学を学び、医療を実践しています。どんなに短くても、最低6年医学に専念して、医学を学んできたのです。その後一生涯、医師は、新しい医療、医学、技術を学ぶ努力をしています。

 そして、現代医療では、医療スタッフは、根拠のある事実に基づいた診療を行っています
これをEvidence Based Medicine:EBM;根拠に基づく医療と言います。良心的に、明確に、分別を持って、最新最良の医学知見を用いる」("conscientious, explicit, and judicious use of current best evidence") 医療のあり方をさします。


 医療従事者は、医療の現場では常に、大切な、掛け替えのない人の命を預かる、という重大な責任を担い、日々この重圧と戦いながら、病気で苦しむ皆さんの助けになろうと、日夜努力しています。

 病院の勤務医、看護師など、大多数の医療従事者は、厳しい労働環境のもと、馬車馬のように自分を酷使して働いています。

世間では、なぜか医師は、嫌われたり叩かれたりする対象になっているような気がします。国のために働く官僚の皆さんに対しても、そのような傾向があるのではないでしょうか?

皆さんは、医者というと、お金持ちとか、威張っているとか、キラキラした生活をしている人を思い浮かべるかもしれません。もちろん、中にはそのような医師もいるかもしれません。
 どの職業でも同じように、医師の中にも、性格や態度が悪い、専門技術や知識がまだまだ足りない人もいます。立場を利用して稼ごうとしている人もいるでしょう。また、偏った思想を持つ人もいると思います。
 医師は万能ではありません。医師は、医療スタッフは、医療の限界を知っています。それでも、必要があれば、勝ち目のほとんどない戦いにでも、出て行き、一緒に戦います。医師も医療スタッフも、一人の人間です。人の死に出会うと、同じように心が傷つきます。それでも、自分たちができることを、するために、医療の現場に立ち、日々努力しているのです。

 耳障りのよい情報に出会った時、もう一度よく考えてください。疑問があれば、主治医、担当医に率直に質問なさってください。医師、医療スタッフは、あなたの病気を治すため、一緒に戦うため、そして直せなくても、苦痛を取り除くため、理想の最期を迎える準備をするために、スタッフ一丸となって仕事をしています。

日本では、医師、特に勤務医は、時間的余裕がないために、ご希望通り、長時間お話することができないこともあるかもしれません。でも、必ず、あなたとお話して、理解しあいたいと思っております。

私からのお願いです。そのような情報に当たった時、もう一度よく考えてください。冷静に検討、判断してください。

 あなたは、長年医学を専門として勉強してきている医師の言葉と、そのブログの内容どちらを信じますか


そして、いろいろな、とんでも情報をポストする方に。
言論は自由です。でも、その発言には、必ず責任も伴います。あなたの無責任な発言に踊らされた人の、健康が害されたとき、あなたはどのように責任を取るのでしょうか?