2015年12月1日火曜日

「コウノドリ」第6話は、不妊治療後の妊婦さんのお話でしたね。

ブログ更新が、すっかり遅くなってしまいました。

アメリカは、先週11月26日が感謝祭(Thanksgiving Holiday)のため、木曜日からお休みでした。感謝祭は、宗教に関係なく、皆がお祝いする大きなお休みで、日本のお盆のように、この前後は、皆実家に帰省して、家族、友人とホリデーディナーを囲みます。また、この休みを利用して、海外に旅行にでる家族もいるのも、日本と同じですね。

さて、少し遅れてしまっていますが、またまた「コウノドリ」です。第6話は、不妊治療によって妊娠した、妊婦さんがメインとして出てきました。治療の末、やっと授かった赤ちゃん。順調に見えた妊娠経過が、急変してしまいました。

妊娠も、出産も病気ではありません。ですが、生命の発生から誕生までの過程は、まさに奇跡の賜物です。不妊治療も、周産期治療も、科学に基づいた医療で、これらをサポートするものですが、知れば知るほど、この生命の神秘に畏敬の念を感じざるをえません。

そして残念ながら、今の医療を持ってしても、最善を尽くしても助けられない命があることも、事実です。

私たち医療関係者は、これらの現実に打ちのめされることがあっても、そこから立ち上がり、日々学びながら、真摯に生命に向き合って過ごしているのです。

「コウノドリ」は、これらの周産期医療を、飾らず、誠実に描いている素晴らしいドラマだと思います。

私も、小児科医の夫と一緒に、毎週、ドラマ中のセリフ、一つ一つに、うなずきながら、見ています。


このドラマが、今そこにある周産期医療の現実を、正しく伝え、皆が理解してくれる助けとなることを、確信しています。

2015年11月16日月曜日

今年のホリデーギフト(寄付)を子供達と決めました。

早いもので、もう11月も半ば。
ここアメリカでは、そろそろ人々がホリデーシーズンに向けての準備を始める時期となりました。来週はサンクスギビング。その後はホリデー一直線です。

街では、Survation Armyの寄付を募るベルの音も響きわたる時期。


最近は、我が家では、どこに何を寄付するかを、子供達と一緒に選ぶようにしています。

この数年は、お金の寄付をWorld Visionに送っています。 
英語はこちら、日本語はこちら

毎年、この時期になると寄付するお金の使い道を選べるギフトカタログが送られてくるので、そこから選びます。今年は子供の学校教育と医薬品のために寄付をすることが決定。

毎年、本当に少額しか寄付できていませんが、子供達と、お金の価値や、今自分達の置かれている現状と、世界の現状などについて、考えたり話したりする良い機会となっています。


2015年10月23日金曜日

National Food Dayに、親子で新しい味を楽しむ!

 昨日10月22日(木)、子供達の通うアメリカ、ボストンの現地校でFood Day Festivalが午後5時〜6時半に開催されました。毎年、National Food Day (詳しくは、去年の記事をどうぞ http://ninkatsutecho.blogspot.com/2014_10_01_archive.html )の前後に開催されるイベントには、地域のレストランやファームなども参加し、親子でFoodについて、学び、考え、そして食べて楽しむイベントです。

 今年も、新しいレストランや食料品店からの出品、保護者作成の食品の数々、食べ物に関するトリビアコーナーなどなど、今年も親子で色々な食べ物を味わいながら、楽しむことができました。

私の今年のお気に入りは、キノアと七面鳥のリゾット。新しくできたレストランからの出品でした。レシピを知りたい!と聞いたところ、お店に来て、シェフに聞いてね!と言われました。これは、お店に食べに行くしかないですね。

毎年恒例、生徒による野菜のレシピコンテストは今年も開催。
娘も、今年も!と張り切ってRoasted Edamame(枝豆のオーブン焼き)作って持って行きました。結果は、3位! 商品として、World Hunger, 10 Myths (世界の飢饉、10の俗説)という本を貰ってきました。
11歳の娘にはちょっと早いかも? でも、飢えを経験したことのない子供に、今改めて考えてもらうのには良いのかもしれませんね。



2015年10月19日月曜日

日本でも、経済格差による保健格差が明らかに。「コウノドリ」第一話 未受診妊婦をみて

 ついに始まった、綾野剛さん主演の、TBSのドラマ「コウノドリ」第一話。日本のお産の現場が丁寧に、産婦人科医の私と、小児科の夫で、食い入るように見てしました。

Save The Childrenがまとめたデータによると、2015年、日本はお母さんに優しい国ランキングで172カ国中32位でした。また、先進国のお母さんの中で死亡する確率が最も高いのはアメリカのお母さん(妊産婦死亡の生涯リスクは1,800人に1人)でした。
 また、注目のデータは、日本では職業による保健格差が明らかになったこと。例えば、無収入世帯は、高所得世帯より、子どもが1歳未満で亡くなる可能性が7.5倍でした。(1,000人当たり10.5人対1.4人)
 TBSのドラマ「コウノドリ」第一話では、未受診妊婦がテーマでしたが、お金がなくて、頼る人がなくて、妊婦検診を受けないで過ごすことも、決して稀な出来事ではなくなっていること、そしてそれは母子の健康を脅かしていることがはっきり示されました。
 母子手帳をもらうと無料の受診券がついていることや、出産に対して出産一時金の支給があることや、出産費用を軽減してもらえる助産制度があります。ですが、このような制度の情報が、必要な人にきちんと届いていないのです。
 ネット全盛の情報社会では、玉石混淆の情報の海の中に、大切な必要な情報が埋もれてしまいますね。 
 私も、妊活、妊娠、出産に関する必要な情報が、必要な人のところに届かない現状を、少しでも変えていきたいと思っています。

2015年10月9日金曜日

そのポスト、本当にシェアしてもいいの?もう一度、冷静に考えてみて欲しい、癌関連のポストについて

 川島なお美さんご逝去、そして北斗晶さんの乳がんの手術などで、世間では癌治療について、いろんなポストが出回っていますね。
 そんな中、今ネット上では、癌の治療について、一見正しいことを主張して見えるような、ポストがあふれ、拡散しています。 

 そこで、あなたに質問です。

 あなたは、長年医学を専門として勉強してきている医師の言葉と、そのブログの内容どちらを信じますか?

 あなたが、そのブログを、いいね!したり、シェアしたりすることは、本当に他の人のためになることなのでしょうか?

 簡単に情報をシェアできる今、もう一度シェアをする前に、考えていただきたいと思います。

よく拡散している医療関係のポストは、いくつかのカテゴリーに分けられます。

第一に、完全否定の言い切り型ポスト
例えば、「病院が癌を作る!」とか、「癌検診は受けてはダメ」「ワクチンは百害あって一利なし』といった現代医療、病院、製薬会社、そして医者を完全否定する型のものです。

第二に、「これが100%絶対によい!」など、絶対効く型のポスト。『**で、全ての病気が治る!」といったもの。

第三に、『自然が一番」などの、自然派型ポスト
昔はそんなことはなかった。病気は、現代の生活、食べ物、技術、医療などが生み出したもの。だから自然が一番です。といった形のもの。

そして、これら3つが組み合わさったものが沢山あります。

著名人のブログの方だからといって、頭から信じてしまわないでください。きちんと、専門の医師の意見を聞いてください。

 通常医者は、医学部で6年間、しっかりと専門医学教育を受け、医師国家試験を受験、合格し、そして卒後の臨床研修、そして臨床の現場で、常に、医学を学び、医療を実践しています。どんなに短くても、最低6年医学に専念して、医学を学んできたのです。その後一生涯、医師は、新しい医療、医学、技術を学ぶ努力をしています。

 そして、現代医療では、医療スタッフは、根拠のある事実に基づいた診療を行っています
これをEvidence Based Medicine:EBM;根拠に基づく医療と言います。良心的に、明確に、分別を持って、最新最良の医学知見を用いる」("conscientious, explicit, and judicious use of current best evidence") 医療のあり方をさします。


 医療従事者は、医療の現場では常に、大切な、掛け替えのない人の命を預かる、という重大な責任を担い、日々この重圧と戦いながら、病気で苦しむ皆さんの助けになろうと、日夜努力しています。

 病院の勤務医、看護師など、大多数の医療従事者は、厳しい労働環境のもと、馬車馬のように自分を酷使して働いています。

世間では、なぜか医師は、嫌われたり叩かれたりする対象になっているような気がします。国のために働く官僚の皆さんに対しても、そのような傾向があるのではないでしょうか?

皆さんは、医者というと、お金持ちとか、威張っているとか、キラキラした生活をしている人を思い浮かべるかもしれません。もちろん、中にはそのような医師もいるかもしれません。
 どの職業でも同じように、医師の中にも、性格や態度が悪い、専門技術や知識がまだまだ足りない人もいます。立場を利用して稼ごうとしている人もいるでしょう。また、偏った思想を持つ人もいると思います。
 医師は万能ではありません。医師は、医療スタッフは、医療の限界を知っています。それでも、必要があれば、勝ち目のほとんどない戦いにでも、出て行き、一緒に戦います。医師も医療スタッフも、一人の人間です。人の死に出会うと、同じように心が傷つきます。それでも、自分たちができることを、するために、医療の現場に立ち、日々努力しているのです。

 耳障りのよい情報に出会った時、もう一度よく考えてください。疑問があれば、主治医、担当医に率直に質問なさってください。医師、医療スタッフは、あなたの病気を治すため、一緒に戦うため、そして直せなくても、苦痛を取り除くため、理想の最期を迎える準備をするために、スタッフ一丸となって仕事をしています。

日本では、医師、特に勤務医は、時間的余裕がないために、ご希望通り、長時間お話することができないこともあるかもしれません。でも、必ず、あなたとお話して、理解しあいたいと思っております。

私からのお願いです。そのような情報に当たった時、もう一度よく考えてください。冷静に検討、判断してください。

 あなたは、長年医学を専門として勉強してきている医師の言葉と、そのブログの内容どちらを信じますか


そして、いろいろな、とんでも情報をポストする方に。
言論は自由です。でも、その発言には、必ず責任も伴います。あなたの無責任な発言に踊らされた人の、健康が害されたとき、あなたはどのように責任を取るのでしょうか? 


2015年7月30日木曜日

女子高校生に、女性のキャリア形成についてお話ししてきました

7月27日に、日本からYale やHarvardに研修にきていた女子高校生たちに、BostonのOld South Churchで『女性として、自分の人生をプロデュースする』というタイトルで、1時間半、講演してきました。 
私は、日本とアメリカで、医師、基礎医学研究者、専業主婦、ワーキングマム、シングルマム(もどき)、離職、再就職、退職、フリーランス、といったように、違った場所と立場で生活してきたので、実体験を振り返り、自分の反省を元にお話ししました。
第二次ベビームーマー世代で、氷河期世代、ロストジェネレーション世代の私。幸いにも資格職についたために、就職難はありませんでしたが、右肩上がりの時代から、急にハシゴを外され、将来が見えない不安に満ちた時代を抜けてきました。一番子供の数が多く、競争は常に激しく、でも大学に入ったらバブルが崩壊。社会、経済に翻弄された世代です。

男女平等を教えられて育ったけれど、現実は、ジェンダー格差がひどい日本。若い女性、次の世代には私たちと同じ轍を踏んでほしくないぞ!という気持ちでお話ししました。

産婦人科医として、そして不妊を専門とする女医としての立場、経験からは、女性は、自分の将来を考えるときには、自分の女性としての身体をよく知り、妊娠、出産後も考えてその上で計画しよう!自分の身体を大切にしよう!というメッセージを伝えたいと思い、お話ししてきました。

ジェンダーのお話しも少しだけしました。

ただ、女子高生に、結婚とか出産とか不妊とかいった話は、まだ余りにも先の話(と感じている人が多かった?)なので、ピンとこないところもあったかもしれません。

学生さんより、付き添いの女性の方が食いつきがよく、アメリカでは、女性向けのライフプランニング、キャリアデベロップメントを学ぶ機会が多いのですか?といった質問なども。 確かに日本にいた時は、女性対象のキャリア育成の為の講座、講義は受けた記憶がありませんが、マサチューセッツ総合病院(MGH)では、女性キャリア育成の為の部署が主催する数々のレクチャーを受講し、とても為になったのを、改めて思い出しました。

日本でも、もっともっと、今現在キャリア構築の途中の女性、すでにキャリアを確立した女性と、若い世代が交流し、お互いに教え学び合うメンタリングサークルなども、増えていくと良いですね。

2015年7月4日土曜日

あったら便利!アメリカで、薬を分包してくれるサービスが始まりました



お薬をもらったけど、一日3回の薬、朝だけの薬、寝る前に飲む薬、と、どれをいつ飲むのか、きちんと飲んだのか、、わからなくなることはありませんか?

とくに、高齢化社会を迎える日本において、高齢になるにつれ、必要な薬の数も増加し、自分で管理するのが大変な人が増加していくと思われます。

そんな、飲み忘れ、飲み間違いなどを防ぎ、服薬コンプライアンスをあげるのに役立つと思う、お薬を、服薬一回分ずつに分包してラベルしてから送ってくれるサービス、PillPackが、アメリカでサービスを開始しました。


アメリカでは、同じお薬を服用している場合、医師に電話してリクエストすると、処方箋は、オンラインで近所の薬局やオンライン薬局に送られます。受診の必要はありません。そして、最高3ヶ月分の薬を処方してもらうこともあります。その場合、大量の薬を、あらかじめ分包してくれるサービスがあると、とても助かる人が多いのではないでしょうか?

日本でも、お薬手帳を使ったり、かかりつけの薬局を決めて、お薬は一箇所からもらうようにして、重複や飲み合わせを確認するようにはなっているかと思いますが、薬をあらかじめ分包してくれるサービスを提供する薬局・システムはあるのでしょうか?
これからの高齢化社会に向け、あったら便利なサービスですね。

2015年5月28日木曜日

アメリカの小学校での性教育について

久しぶりのブログ更新になります。

長〜い冬の後、短くも美しい春が訪れたボストンに、ついに夏がやってきました!!

ボストンをふくむニューイングランド地域(アメリカ東海岸)では、メモリアルディ(memorial day、戦没将兵追悼記念日、5月の最終月曜日)の連休から、レイバー・ディ(Labor Day、9月の第一月曜日)までが、「夏」と考えられています。
気温もぐっと上がり、日中30度近くになる日も増え、海、山などの行楽シーズン到来といった感があります。

また、9月に新学期が始まるアメリカの学校は6月半ばが学年末。5月から月にかけては、発表会、卒業関連イベントなど、忙しい季節です。

さて、前置きはさておき、先週はアメリカ現地の小学校の性教育についての保護者向けのミーティングに参加してきました。小学5年生から始まる性教育。思春期を迎える子供を持つ親に、性について子供にどう伝えていくかを話し合うミーティングでした。

性のプロ(?)である、産婦人科医の私も、性について、実の子供へどのように伝えていくかは、試行錯誤しています。(注;11歳女児、9歳男児の母です)


タイトルは「Let's Be Honest」(邦訳 正直になろう)。

性教育の授業で、具体的に子供たちにどんなことを教えるか、については、あらかじめ配布されている資料に書かれており、希望があれば、親もそれらの教材を見ることができるそうです(著者は、貸してもらえるようにお願いしてきました)。

ミーティングでは、親として子供と、性・セクシアリティ、思春期における変化などを、どう話していくか、子供たちと話す時の心構えに焦点が当てられていました。

アメリカの学校では、通常、小学5年生から、年齢別に性教育の授業が入ってきますが、子供に性教育を受けさせるかどうかは、親が選ぶことができます。親が希望しない場合は、その子供は性教育を受けません。

今回のセミナー学んだ 3点について、話したいと思います。

一つ目は、親と性について会話をしたことのある子供達は、話したことのない子供たちと比べ、Poor decision(深く考えていない、浅はかな決断、この場合は望まない性交渉を持つことや正しく避妊しないなど)をする率が6割以上も低下する、という結果でした。

話す内容に関わらず、子供と親が、性について、どんな形であれ、話す機会を持つ、話し合いを逃げないことが、大切、とのことでした。

性教育をめぐる議論において、性、性行為や避妊などについて教える事は、子供たちがそういった行為をすることを助長するのではないか?という論点での議論がなされることが良くあります。ですが、親や学校で教えなくても、必ず他から知るようになり、そしてインターネットや雑誌、友人などからの情報は、間違っていたり、偏っていたりすることが多いにありえます。
きちんと話し、教えた方が、子供達がより正しい判断をする、ということを改めて数字で学んだのはとても良い経験でした。


第二は、Sextingについて。
Sextingとは、性的なテキストメッセージまたは写真を、携帯電話間で送る行為であり、SEXとtextingの混成語。
実に、アメリカのティーンの約20%が、sexting(ヌードやセミヌードの写真をオンラインでポストしたりテキスト)したことがある事実 (文献1)は、衝撃でした。
最近の中高生では、交際する=Sextingをするということが、より一般化しているという現状がある今、サイバーの世界に出された情報は消せないこと、そして簡単にどこまででも広がってしまう可能性があること、インターネットリタレシーを教えていく重要性を、改めて考えさせられました。

そして、第三のポイント。
性について語る際には、ポーカーフェースで、医学的に正しい用語を使い、そして、親自身の性に関しては、プライバシーなので話す必要がないと、線を引いて良いことを学びました。

私も、性に関しても、妊活同様、正しい知識を提供していく、という姿勢をもって、過ごして行こうと思います。

皆さんは、どのような性教育を受けてきましたか?どのように子供たちに性を伝えていきますか?


文献
1. The National Campaign to Prevent Teen and Unplanned Pregnancy. (2008). Sex and Tech: Results from a Survey of Teens and Young Adults. Washington, DC

2015年2月27日金曜日

妊活講座アンケートにご協力お願い致します!(受講割引券がもらえます)

皆さん。こんにちは。

来る2015年春より、オンラインの妊活講座を開講することになりました。
講座開講に当り、この妊活講座をよりよくするためのアンケートにご協力をお願いしています。妊活中、ベビ待ち中の皆さんの、率直なご意見をお聞かせ下さい。
2015年3月27日までに、このアンケート
http://goo.gl/forms/PdlgU5VtXW
にお答え頂き、お名前とメールアドレスをご記入頂きました方全員に、妊活講座のご案内と受講の割引特典をプレゼント致します。(後日、メールにて送らせて頂きます)
個人情報の取り扱いについて
皆様からいただきました回答は、樽井智子以外が使用する事はありません。
またお答えいただいきました内容は、妊活講座のご案内及び、講座内容の向上の為にのみ使用されます。
アンケートにご協力を、どうぞよろしくお願い致します。
アンケートはこちらから。
http://goo.gl/forms/PdlgU5VtXW

不妊を専門とする産婦人科医、樽井智子(ハーバード大学医学部産婦人科元講師)が、2015年春より、不妊に悩むカップル向けのオンライン妊活講座を開講予定です。...
docs.google.com

2015年2月3日火曜日

婚活、妊活、そして卵活? 妊活コラム 番外編 《番外編》が掲載されました。

樽井智子先生の妊活コラム 番外編 《番外編》婚活、妊活、そして卵活? 

 が掲載されました。
昨今、妊活に続いて、卵活と言う言葉も使われる様になってきましたが、卵活、特に卵子凍結についてのコラムが掲載されました。
 ぜひ、お読み下さい。
以下、コラムからの転載です。

12年前の卵子で出産! 

 

30歳の女性が、高校時代にがん治療で生殖機能を失う前に卵子を凍結保存し、12年後に受精卵にして子宮に戻し、2014年8月に出産していたことが、昨年末に発表され、それに伴い「卵子凍結」、「卵活」といった言葉が改めて話題になりました。(詳細

このようなニュースに触れると、これからは『若い時に卵子を凍結しておけば、将来、産みたい時に凍結卵子を使って出産すれば良い』と考える方もいるのではないでしょうか?

医学的な卵子凍結と、社会的な卵子凍結

 

卵子凍結には
・医学的な卵子凍結
・社会的な卵子凍結

があります。

昨年末の報道のようなケースは、医学的な卵子凍結で、以前より実施されてきています。
医学的な卵子凍結とは、悪性腫瘍に罹った女性が、治療(手術、化学療法、放射線療法など)により、妊孕性(にんようせい、妊娠する力)が失われると予測される場合に、妊孕性を温存するために、治療前に卵子を採取・凍結・保存しておくことです。

社会的な卵子凍結とは、女性が将来の妊娠・出産に備えて卵子を凍結することを指します。女性の社会進出に伴い、仕事や婚期など個人の事情に合わせ、出産時期の調整を希望する女性が増えてきた事と、未受精卵の凍結・保存の技術が進歩したことにより、行われる様になりました。

社会的な卵子凍結としては、最近では、アメリカのアップル社やFacebook社が、女性社員の卵子の冷凍保存に対し、資金援助する福利厚生策を導入したことも話題になりました。

卵子凍結の日本での現状は?

 

このような社会的状況を踏まえ、2013年11月、日本生殖医学会は、健康な女性が将来の妊娠・出産に備えて卵子を凍結するためのガイドライン(社会的卵子凍結のガイドライン)を作成しました。

ポイントは
・40歳以上の採卵や卵子凍結は推奨できない
・45歳以上での凍結卵子を使っての妊娠は推奨できない

となります。

社会的な卵子凍結の場合も、妊娠は45歳まで、ということになります。
医学的には、妊娠適齢期は20歳台で、できるだけ35歳までに自然妊娠をするのが望ましいです。

社会的な卵子の凍結保存は、35歳までの妊娠が、どうしても難しい(パートナーがいない、キャリア形成上状況が許さないなど)時の選択時の一つであると考えて下さい。

卵子凍結の流れ

 

実際の卵子凍結の流れですが、まず、排卵誘発剤で卵巣を刺激し、卵子を採取し、凍結保存しておきます。 妊娠を希望する際には、卵子を解凍し、体外受精をして受精卵を作り、子宮に移植し、妊娠出産を目指します 。

卵子凍結=必ず将来妊娠・出産出来る?

 

しかし、凍結卵子(未受精卵)を使った体外受精の成功率は、通常の体外受精よりも低く、凍結した卵子から、すべて良好な受精卵が得られるとは限りません妊娠するためには、最低10個以上の卵子を凍結保存しておくことが望ましいと言われています。

社会的適応での卵子の凍結を希望する女性が増えていますが、
・卵子凍結によって妊娠できる可能性は高くない
・卵子凍結=将来好きな時に妊娠できるのではない

ことを理解した上で、選択する必要があります。

また、現在一般的には、卵子凍結にかかる費用は70~80万円前後で、卵子1個につき年間1万円前後の保存料が必要となります。

このような状況を含め、社会全体で、女性が妊娠適齢期(20代がベスト、遅くとも35歳まで)に、妊娠、出産出来るような環境作りをしていって欲しいと強く願っています。

2015年2月5日追記

2月4日の夜7時のNHKニュー スで、社会的な卵子の凍結について報道がありました。
ニュース動画 卵子の凍結保存 新技術で国内でも広がる のリンクはこちら

また、2月5日には、浦安市は、順天堂浦安病院と協力し、社会的な卵子凍結に対して凍結保存費用を助成する『プリンセス・バンク(仮称)』を計画している事が明らかになりました。日本の自治体が社会的な卵子凍結に対して、補助を出すのは、浦安市が初になりそうです。

2015年1月27日火曜日

スノーストームで、州が非常事態宣言と、その準備について(覚書)

今年は、スノーストームが来なくていいね!と話した直後に、ストームが連続して到来中のボストン。

 今日、2015年1月26日、お昼に、MA州のチャーリー・ベーカー知事が、州に非常事態宣言を発表しました。このストームは、Storm 2015として、記録に残るストームになりそうです。

27日0時から、MA州全域の道路の交通およびMBTAの公共交通機関は全てシャットダウン。緊急車両以外の通行禁止となり、違反者は$500の罰金、
とのこと。

こういう時、アメリカって、はっきりルールを作って、ちょっと脅して、住民に言う事聞かせる感、があります。

日本で雪国暮らしを経験した私には、この程度の雪でシャットダウンしたら、日本の豪雪地帯は、冬中シャットダウンしなければだめではないか、と考えてしまいます。ですが、このような雪に慣れていない、車がスノータイヤを履いていない、タイヤチェーンも皆持っていないボストンでは、車と人を外に出さないのが、一番安全ですね
 
電気さえ止まらなければ、家族で自宅にこもっているのも悪くないけど、電気が止まったら、、、、。復旧まで、すご〜〜く時間がかかると思うので、考えたくないですね。

アメリカは、思いの他、インフラが弱い所があり、また災害などに対しても、その他の事に対しても、自衛が当たり前、と考える所があります。
国土も広いため、一度何か起きても、復旧までには時間がかかってしまうので、要注意ですね。

 
州が発表している、ストームに対する準備は

• 十分な暖房の燃料を準備。停電に備えて予備の暖房器具を。
• PC/携帯ほか、機械の充電。
•懐中電灯、携帯ラジオ、余分の電池、水、缶などの食べ物を準備。
• 火災探知機、一酸化炭素探知機の点検。
• 医療機器を使用している場合、プロバイダーに相談しておく。
• 最低限72時間分の医薬品、医療機器の充電と予備のバッテリーも忘れずに。
• 近所の人と、助け合いましょう。

等になります。

今回は、一般車両は使えなくなるので、蛇足になりますが、
• 車の準備:ガソリンをタンク半分以上入れておく。冬の非常用グッズを搭載:毛布・予備の服・ライトと予備の電池・マッチ(雪を溶かして水を飲む ため)、缶などの腐らない食べ物、窓の氷結を落とすscraper、ショベル、砂、車を引っ張るロープ、ジャンプケーブル
との事でした。

私は、電気が止まると、暖房もつかず、料理も出来ないアパート住まい。暖炉はありません。

取りあえず、水、食料は十分あるので、後は、電気が止まっても大丈夫な様に、食事を作っておこうと思います。

2015年1月17日土曜日

自分の名前について考える ー別姓、改姓の大変さや、プライバシーの問題などー


今日は、自分の名前について考えた事を、つれづれにお話したいと思います。

私は自分の旧姓、金子智子が好きでした。苗字と名前が、『子』で韻を踏んでいるなんておかしい、とからかわれる事も多かったですが、生まれてから結婚するまでの31年間、ずっと使ってきた名前です。やはり愛着があります。旧姓で仕事をし、論文を書き、業績を少しづつ積み上げてきました。

ところが31歳で結婚するにあたり、名前をどうするか、考えなければならなくなりました。

まず、ここでフラストレーション。
日本では、結婚後の姓は男女どちらの姓を選んでも良い事になっていますが、多くの場合が女性は男性の姓に変更することになります。戸籍制度上、今の所、夫婦別姓は認められていません。私は、中国や韓国の様に、女性も一生涯名前を変更する事無く暮らし、結婚後は、妻だけ別姓で家族を形成する、子供の姓は夫と同じ、というのも、あっていいと思うのですが、、、。

私はアメリカで結婚したため、少なくとも、アメリカの法律上の名前は自分の好きなように選べました。
選択肢は5つ
1.私だけ旧姓のまま
2.私が夫の名字に変更する
3.夫が私の名字に変更する
4.私だけ、旧姓と夫の姓をハイフンで繋ぐ。
5.夫も私も、旧姓と夫の姓をハイフンで繋いだものを使う

等がありました。
 
姓を変更すると、本当に煩雑な手続きが伴います。
銀行口座、クレジットカードを始め、運転免許書なども、全て名義を変更しなければなりません。

いろいろ悩みました。
結論は、アメリカでは4の、私だけ旧姓と夫の姓をハイフンで繋いだラストネームを使う事にしました。
理由は、夫と私のなまえが、智と智子と、一字だけ違い、読み方も、とも、ともこ、という風に、あまりにも酷似しているためで、ラストネームが同じだと、区別がつかなくなる可能性があまりにも高かったからです。

4を選んだ今でも、色々な所で、 情報が混ざりあってしまい、お互いが間違えられる事があり、未だに苦労しています。

日本では、戸籍法に乗っ取って、姓を選ばなければならず、私は夫の姓を名乗ることにしました。 その結果、日本でも、銀行口座、クレジットカードを始め、運転免許書、医師免許書、保険医登録書といった数々の書類の名義変更が必要でした。全ての手続きを終えるまで、かなりの時間がかかり、なぜ、私だけ、こんなに大変な思いをしないとならないのか、と腹が立ったのを今でも覚えています。

そして、日本のパスポート。
パスポートに旧姓を併記してもらう為には、特別な手続きが必要でした。
あまり、一般的で無いため、過去に同じ様に旧姓併記を申請した方の記録を参考にして、申請し、無事併記してもらう事が出来ました。
でも、日本のパスポートでは、旧姓ー現姓をハイフンで繋いだ形は、未だ認められず、現姓(旧姓)という記載のみ、可能でした。
これについては、いつかまた、ブログで書きたいと思っています。
 
また、改姓の問題とは話が変わりますが、夫の苗字は、比較的珍しい苗字のため、個人特定性が高くなってしまうのが、嫌でした。

なんでも、インターネットで調べると情報が出てくる世の中です。
個人特定性の高い名字を名乗ると、一般には公開したくない個人情報が特定されやすくなり、知らない間に知られてしまうような怖さがありました。
この点については、これからも気をつけていく必要があります。
(突然、全く知らない人から、ダイレクトメッセージが届く、などというのは、本当に気持ち悪い物です。メールソフトなどでフィルタリングをしていても、すり抜けてくる物もあります)。

最近は、本名で原稿を書く機会が増えてきました。
玉石混淆な情報が溢れる現在において、自分の名前がついた記事に関しては、信頼がおける情報源と考えてもらえる様に、努力しながら書いていこうと思っています。

2015年1月16日金曜日

DNAが、あなたの未来を左右する?

今日は、昨日公開になった動画を、ぜひシェアしたいと思います。

私の友人で、現在ボストンバレエで、アジア人初のプリンシパルダンサー(最高位ダンサー、プリマドンナ)になられた倉永美沙さんが出演された広告です。

倉永美沙さんは、大阪で生まれ育ちました。子供の頃から頭角を表し、モスクワ国際バレエコンクールでジュニア金賞、ジャクソン国際バレエコンクールでシニア金賞を受賞、ジャクソン国際バレエコンクールゴールドメダル受賞(女性シニア部門日本初)など、今までに数々の輝かしい実績を残してこられています。

ですが、競争の激しいプロバレエダンサーの世界で、このような輝かしいキャリアを築く過程では、アジア人であること、骨格の違い、身長など、他のバレリーナと比べて不利と考えられる条件もあり、苦労も沢山なさってきました。
でも、それらを乗り越えて、絶え間なく努力をし、夢を諦めない姿勢が、今の彼女を作っています。
そんな彼女の姿が、ぎゅっと一分30秒の広告に収まっています。


 ぜひ、ご覧になって下さい。

また、ボストン近郊の友人の皆様。Boston Balletに倉永美沙さんの踊りを見に行く際には、ぜひお声をかけて下さいね!

For all girls
 
 Be inspired by this is a video clip of TV ad.
http://youtu.be/R6HDugp9msQ

Breath holding Miss Misa Kuranaga, a Principal of Boston Ballet. She voyages beyond what is determined by DNA (Destiny).

Misa Kuranaga was told she didn’t have the genes to dance ballet. She didn’t listen, and instead chose to changedestiny.
Know more about Misa’s changedestiny journey:
http://www.sk-ii.jp/ja/changedestiny.aspx


2015年1月10日土曜日

大晦日にお節交換会

皆様、新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。

あっという間に2015年の幕が開いてしまいました。
2014年の12月も、師走との言葉通り、右に左に走り回ってるうちに過ぎてしまいました。そんな12月にはいろいろなイベントがありましたが、今日はおせち交換会について少し書きたいと思います。

お節交換会とは、各自がお節を数品作って持ち合い、交換し、おせちを完成させるものです。
今年の交換会後、お重に入ったお節はこちら。


上より、一の重、二の重、三の重。他に重箱に入りきらなかった、鹿児島の郷土料理の豚骨がありました。


アメリカ生まれの子供たちにも、お正月には伝統的な日本料理を、知って、食べてもらいたい。純日本人の私は、慣れたとはいえ、通常1月2日から、ホリデーが終わり!というアメリカ、せめて元日位は、日本人らしくお節を食べながらゆっくりしたい。
でも、 その一方、年末まで忙しく、お節の材料の入手も難しい海外の地では、どうしても、お節作りは色々なハードルが高いものでした。

私も四年前までは、29日位から31日の夜にかけて、仕事から帰ってきた後に、夜なべをして、おせちの準備をしたものでした。(31日まで、普通に仕事がありました。)

でも、友人からお節交換会を教えてもらい、参加する様になって今年は4回目。我が家では毎年の恒例行事として、定着しつつあります。

その後、このコンセプトは、ボストンでも少しずつ広がり、複数のグループが交換会をするようになりました。

昨年末の篠原歩弓さん主催の「おせち交換会」の様子は、錦光山雅子さんによって朝日新聞の記事になりました!
(English)
Japanese expats swap 'osechi' dishes to save time, money, energy

(日本語)
おせち交換、米国流 在住の日本人「簡単、楽しく、豪華に」


お節交換会は、楽しく簡単に用意でき、割高な食材を買いそろえる費用も抑えられ、友人との絆も深まる、といった利点に加え、全て、各人の自宅で作られているため、添加物、保存料などが一切ないこととで安心安全、そして交換で受け取るお節は、お重に入る分量、つまりすぐに食べきることができる量なので、同じおせちを食べ続けて飽きる、ということもありません。
またそれぞれが、自分の出身地のお節、郷土料理を持ち寄ることで、日本の郷土料理をかいま見る機会でもあります。

海外在住で、お節やお節の材料が中々手に入らない、忙しい日本人の皆さん。ぜひ来年はあなたもいかがですか?