2015年5月28日木曜日

アメリカの小学校での性教育について

久しぶりのブログ更新になります。

長〜い冬の後、短くも美しい春が訪れたボストンに、ついに夏がやってきました!!

ボストンをふくむニューイングランド地域(アメリカ東海岸)では、メモリアルディ(memorial day、戦没将兵追悼記念日、5月の最終月曜日)の連休から、レイバー・ディ(Labor Day、9月の第一月曜日)までが、「夏」と考えられています。
気温もぐっと上がり、日中30度近くになる日も増え、海、山などの行楽シーズン到来といった感があります。

また、9月に新学期が始まるアメリカの学校は6月半ばが学年末。5月から月にかけては、発表会、卒業関連イベントなど、忙しい季節です。

さて、前置きはさておき、先週はアメリカ現地の小学校の性教育についての保護者向けのミーティングに参加してきました。小学5年生から始まる性教育。思春期を迎える子供を持つ親に、性について子供にどう伝えていくかを話し合うミーティングでした。

性のプロ(?)である、産婦人科医の私も、性について、実の子供へどのように伝えていくかは、試行錯誤しています。(注;11歳女児、9歳男児の母です)


タイトルは「Let's Be Honest」(邦訳 正直になろう)。

性教育の授業で、具体的に子供たちにどんなことを教えるか、については、あらかじめ配布されている資料に書かれており、希望があれば、親もそれらの教材を見ることができるそうです(著者は、貸してもらえるようにお願いしてきました)。

ミーティングでは、親として子供と、性・セクシアリティ、思春期における変化などを、どう話していくか、子供たちと話す時の心構えに焦点が当てられていました。

アメリカの学校では、通常、小学5年生から、年齢別に性教育の授業が入ってきますが、子供に性教育を受けさせるかどうかは、親が選ぶことができます。親が希望しない場合は、その子供は性教育を受けません。

今回のセミナー学んだ 3点について、話したいと思います。

一つ目は、親と性について会話をしたことのある子供達は、話したことのない子供たちと比べ、Poor decision(深く考えていない、浅はかな決断、この場合は望まない性交渉を持つことや正しく避妊しないなど)をする率が6割以上も低下する、という結果でした。

話す内容に関わらず、子供と親が、性について、どんな形であれ、話す機会を持つ、話し合いを逃げないことが、大切、とのことでした。

性教育をめぐる議論において、性、性行為や避妊などについて教える事は、子供たちがそういった行為をすることを助長するのではないか?という論点での議論がなされることが良くあります。ですが、親や学校で教えなくても、必ず他から知るようになり、そしてインターネットや雑誌、友人などからの情報は、間違っていたり、偏っていたりすることが多いにありえます。
きちんと話し、教えた方が、子供達がより正しい判断をする、ということを改めて数字で学んだのはとても良い経験でした。


第二は、Sextingについて。
Sextingとは、性的なテキストメッセージまたは写真を、携帯電話間で送る行為であり、SEXとtextingの混成語。
実に、アメリカのティーンの約20%が、sexting(ヌードやセミヌードの写真をオンラインでポストしたりテキスト)したことがある事実 (文献1)は、衝撃でした。
最近の中高生では、交際する=Sextingをするということが、より一般化しているという現状がある今、サイバーの世界に出された情報は消せないこと、そして簡単にどこまででも広がってしまう可能性があること、インターネットリタレシーを教えていく重要性を、改めて考えさせられました。

そして、第三のポイント。
性について語る際には、ポーカーフェースで、医学的に正しい用語を使い、そして、親自身の性に関しては、プライバシーなので話す必要がないと、線を引いて良いことを学びました。

私も、性に関しても、妊活同様、正しい知識を提供していく、という姿勢をもって、過ごして行こうと思います。

皆さんは、どのような性教育を受けてきましたか?どのように子供たちに性を伝えていきますか?


文献
1. The National Campaign to Prevent Teen and Unplanned Pregnancy. (2008). Sex and Tech: Results from a Survey of Teens and Young Adults. Washington, DC

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